RESEARCH REPORT

研究資料(電磁波レーダ法の定義・原理)

電磁波レーダ法の定義・原理

電磁波とは

電磁波とは、電場と磁場の振動が空間を伝わる現象の事で、磁場が振動(変化)する事で電場が振動(変化)し、その電場が振動(変化)することで、磁場が振動(変化)する。これを繰り返す事で空間を伝わる現象の事です。

電磁波の種類

電磁波は周波数によって呼び名や性質が異なります。次の図を参照して下さい。電波だけでなく、光(可視光)、赤外線、それにX線も、周波数が異なるだけで、同じ電磁波の仲間なのです。

レーダとは

レーダ(RADAR)とは、Radio detection and rangingの略称であり、送信装置から電磁波を放射し、対象物で反射されて戻って来た電磁波を受信装置で受信する事で、対象物の検出と位置、距離を決定する仕組みです。レーダの他の用途としては、航空管制用、海上監視用、気象用などがあります。

周波数とは

電磁波は、電場と磁場が振動して空間を伝わる現象ですが、このとき、この振動を横軸(x)に時間をとって表すと、下図の様な振動(周期的な変化)をします。

そして、同じ変化を繰り返すところ(上の図では、「山」の箇所)の距離を波長と呼びます。
そして周波数とは、これらの波の振動が1秒間に何回、振動しているかを表しています。1秒間に1回の振動をしている場合、1Hz(ヘルツ)、2回であれば2Hzとなります。

周波数が高い程、細かな時間差を捉える事が出来るので、測定分解能が向上します。
但し、周波数が高くなるほど減衰が大きくなるので、測定最大深度が浅くなる傾向があります。

電磁波レーダ法の測定原理と比誘電率

電磁波レーダ法とは送信アンテナから電磁波を放射し、コンクリート内部の電気的性質(比誘電率)の異なる材質(鉄筋、空洞、非金属管)の境界面での反射波を利用してコンクリート内部を探査する方法です。

比誘電率

比誘電率とは真空中の電磁波速度を1とした時の各媒質の中を進む電磁波速度の比率の事です。学術的には「媒質の誘電率と真空の誘電率の比ε/ε0 = εrのことである」と説明されています。比誘電率に単位はなく、媒質固有の値です。

比誘電率一覧表

鉄筋が双曲線になる理由

ハンディサーチの放射する電磁波は、側面から見た場合、左右対称に約40°~45°(約90°)に広がって放射しています。また、正面から見た場合は、装置の横幅とほぼ同じ幅で、少し膨らみをもって真下へ放射されています。

ハンディサーチは、埋設物の直上位置だけでなく、それよりも手前から埋設物の反射を捉えています。下図[D1]~D3は、装置が鉄筋を横切る様子です。装置位置が[D1]のとき、装置と鉄筋間の反射波を装置の真下に描画します。そのときの電磁波伝搬時間は[T1]です。同様に[D2]は[T2]、[D3]は[T3]の反射波を装置の真下に描画します。[D1]~[D3]各々の電磁波伝搬時間(T)は異なり、結果、埋設物の位置が双曲線のような波形で表示されます。

鉄筋上面がAモード波形のピークとなる理由

装置本体から放射された電磁波は、まず空気とコンクリート表面の境界面で反射がおき、比誘電率は「空気」より「コンクリート」の方が値が大きいので、右振れの反射波となります。本来であれば反射波の0から+に立ち上がる位置が反射物の反射面ですが、起点が明確ではないので、立ち上がりから反射物の表面を判定することは非常に難しいです。そこでハンディサーチでは、最初の空気からコンクリート表面での反射波を利用し、その+のピークをゼロ点(コンクリート表面)としています。そのため、鉄筋等から反射される波形もずれることとなり、鉄筋表面で反射される反射波の鉄筋最上面は+のピーク値となります。

反射波による金属・非金属の判別

ハンディサーチは反射面の材質の比誘電率が伝搬している物質の比誘電率よりも大きい場合、右振れの反射波(+)として表示されます。一方、反射面の材質の比誘電率が伝搬している物質より比誘電率が小さい場合、左振れの反射波(-)として表示されます。この特性により、コンクリート中の反射物が「金属」or「非金属」かの判断をすることができます

①反射物が金属の場合(コンクリート<金属)

コンクリート乾燥時(ε=4~12)
アスコン(ε=4~6)に対して…
満水の非金属管(ε=81)
鉄筋・電線(ε=∞)

②反射物が非金属の場合(コンクリート>空洞)

コンクリート乾燥時(ε=4~12)
アスコン(ε=4~6)に対して…
空気(空洞、ジャンカ(ε=1)
塩ビ管(ε=2.8~3.1)

埋設物の深度と双曲線の表示角度について

Bモード画像に表示される埋設物の反射波形は通常、双曲線の様に表示されますが、埋設物の深度が浅い場合は、双曲線の角度が鋭角になり、深度が深くなるほど、なだらかな双曲線が表示されます。
この関係性を理解しておくと、ダブル鉄筋や密集鉄筋の解析に役立ちます。

多重反射(リンギング)について

リンギングの発生は測定結果画像の診断を困難にし、垂直分解能を劣化させ、かぶり厚さ測定の誤差要因になっています。 送信アンテナから発信されるパルス波は送信アンテナ→コンクリート内部→受信アンテナという通過経路で構成され、限られた周波数成分だけを通過させる特性(フィルタ特性)を持つために、リンギングと呼ばれる不要信号が発生します。

リンギングは下記図のように断面表示画像不要画像となって現れ、画像の解読、診断を困難にしております。

ハンディサーチは、リンギングを軽減させる独自の技術により、大幅に性能が改善され、結果として画像の分解能が向上し、画像の解読、診断が容易になっています。

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