RESEARCH REPORT

研究資料(【事例】非金属管の探査編)

【事例】非金属管の探査編

非金属管の探査とは?

非金属管の探査は、鉄筋コンクリート構造物の内部や地中に埋設されている塩ビ管、ポリエチレン管などの非金属製の埋設物について、その位置(平面位置)と深度(かぶり厚さ)を、構造物を破壊せずに特定する非破壊検査です。

非金属管の調査が特に重要となるのは、改修工事や設備工事における安全確保のためです。

  • 事故防止:コンクリートに穿孔(穴あけ)や斫り(ハツリ)といった破壊作業を行う際、埋設管の位置を把握せずに作業を進めると、電気配線、給水管、排水管、ガス管などのユーティリティ設備を誤って損傷する重大な事故につながります。
  • 機能停止の回避:特に配管や電線管を損傷した場合、広範囲にわたる機能停止を引き起こす可能性があり、調査はこれらのリスクを未然に防ぎます。
  • 設計の正確性:既存の図面情報が不正確または不十分な場合に、正確な埋設位置を把握し、工事計画の信頼性を確保するために不可欠です。

非金属管の調査には、主に電磁波レーダー法が用いられます。これは、非金属管が鉄筋探査に用いられる電磁誘導法では検出できないためです。

現場の実例①:駅ホーム階の埋設配管・水道管およびタイロッドの設置状況調査

現場状況

調査目的は駅ホーム階の埋設配管と水道管の位置、およびタイロッドの設置状況を明確にすることであった 。 ホーム内は無筋アスファルト床版であると推測される 。

探査箇所の図

測定結果(推定)

  • 埋設配管(Y5.6側長手方向):深さ100mm程度の配管と、深さ120mmから350mmの配管群が検出された。 
  • 給水管(鋼管):Y5〜6間・X3〜6間において、X6近傍から待合室内部を通りX3〜4間の水道付近まで、深さ約90mmから150mmの給水管(鋼管)と思われる波形が検出された。 
  • 給水管の経路:待合室内部X4側からX5側方向に約2400mmの位置で曲がっており、水道近傍では他の埋設物と混在し不明瞭な箇所があった。 
  • 配管(ホームY4通り近傍):長手方向に深さ500mm程度の配管が埋設されている可能性が高い。 
  • 配管(Y3通り側長手方向):Y3通りから1450mmから1500mmの位置に深さ500mmから600mm付近の配管が見られ、X11付近で斜めの排水管と錯綜している可能性がある。 
  • 排水管:各所の桝からの排水管も走査線上の位置で推測されるものが図に記入されている。 
  • 金属板:X11〜12間Y5付近の点字ブロック下には幅1400mm程度の金属板が表面50mm以内に配置されていると推測される。 
  • タイロッド(Y6側):ほぼ図面通りに配置され、深さはホーム端で500mm、点字ブロック内部で300mmと浅くなる。 
  • タイロッド(Y5側):波形は明確に捉えられなかった。 
  • タイロッド(Y4側):ほぼ図の位置に配置され、深さは550mmから600mmである。 
  • タイロッド(Y3側):ほぼ図面通りに配置されているが、長さは一部中央部桝近傍まで伸び、深さは600mmで水平に配置されている。 
  • 内側支点設備:タイロッドを支える内側支点設備(H鋼等)は明確に捉えられなかった。

測定詳細

まとめ

非金属管の探査は、主に電磁波レーダー法を用いて、コンクリートや地盤内の塩ビ管やポリエチレン管といった非金属製の埋設物の正確な位置と深度を非破壊で特定する調査です。これは、金属製の埋設物しか検出できない電磁誘導法の探査範囲を補完する目的があります。この探査の必要性は、コア抜きや穿孔作業における管の損傷事故を未然に防ぎ、建物の機能維持と工事の安全性を確保することにあります。電磁波の反射特性を利用することで、鉄筋などの金属物と非金属管の双方の位置情報を正確に把握し、安全な施工計画の立案に不可欠な情報を提供します。

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